(Olafur Eliasson’s In Real Life at Tate Modern / Photograph: Davide Agnelli/Alamy: Credit)
こんにちは。SATOMIです。
突然ですが、みなさんはAI技術で出来た人工的な絵を購入したいと思いますか?
ちょうど先日、ロンドンの大学でAIを教えているドイツ人の友だちと話してたときにそんな議論になって、彼は速攻でイエス、私は断然ノーでした。
多分それは私自身、自分で絵を描くから、やっぱり人が時間を掛けて作り上げた「情」を感じる作品が好きだからだと思います。人間の手で作られたからこそちょっとしたミスが見つかったりして、私はそこに味わいを感じます。
だからデジタルで出来たアート作品もあんまり興味を持てませんでした。
でも以前、ロンドンのRoyal Academy of Artでやっていたデイヴィッド・ホックニーのエキシビションで、彼は80歳を超えているにも関わらずiPadを巧みに操り作品制作に励んでいることを知って、常に新しいものを偏見を持たずに試していく姿勢が素敵だなと感じました。
そして、アートのトレンドというのはそういった新しいテクノロジーだけでなく、政治情勢や戦争、人種差別などの時事的な問題などにも大きく影響を受けています。
今回はこの10年、20年でアートの未来がどのように変化していくのかを知ることによって、アートに対する新しい視点を取り入れられたらと思ってこの記事を書くことにしました。
またアート投資をしたいと思っている人も気になるところだと思いますので、是非一緒にカンタンに学んでいきましょう。
人権尊重の流れがもたらすアートへの影響
2020年、黒人のジョージ・フロイド氏が白人警察官によって殺害されたことをきっかけに巻き起こった【Black Lives Matter】 のプロテスト活動以来、人種差別に立ち向かう流れが盛んになり、アートの世界においても変化が見られました。
イギリスのカーディフ国立博物館では、『PITCH BLACK』というプロジェクトの一環で現代の黒人アーティストによってウェールズの黒人を称えた作品 の制作依頼があったり、バーミンガムのアストンホールでは有色人種を応援する『Don’t Settle』というプロジェクトとコラボした展覧会が開かれるなど、欧米を中心に黒人をフューチャーしたイベントが行われたそうです。
もともと、黒人アーティストの作品はセレブリティによる購入などを背景にして市場価格が急騰し、ジャン・ミシェル・バスキアやケリー・ジェームズ・マーシャルをはじめとする作品は今日のオークションで高額で取引されており、その高い人気は今後も続くと言われています。
有色人種の差別だけでなく、LGBTやフェミニストなど、その時代を反映する人権尊重を訴える運動によっても、アートはどんどん形を変え、トレンドとして取り上げられていくことでしょう。
私が個人的に感じるのは、そういった中でアジア人に対する偏見はアート界においてそこまで大きく取り上げられないということ。コロナの流れでアジア人に対する暴行などのニュースが度々報道され、SNSでは#StopAsianHate のハッシュタグをつけたアジア人に対する人権の尊重を謳ったポストが目立ちましたが、実際にアートの世界であえてアジア人ということが強調されているケースなどをあまり見ない気がします。
それはもしかしたら黒人ほどアジア人は差別されていないからなのかもしれないですが、個人的にはアジア人がこれから独自のアイデンティティを持ってどのようにアートの世界での存在感を発揮していくのかが気になるところです。
また、インターネットの発達でよりグローバル化された未来の世界では、人種、思想、身分、そして居住する場所に関係なく、さまざまなバックグラウンドを持ったアーティストの作品がもっと気軽に楽しめるようになっていくのは間違いなさそうですね。
「モノ」よりも「体験」?
現在多くの美術館やギャラリーでインスタレーションが行われており、アートによって作り出された非日常の空間で人間の五感を刺激する体験型のスタイルが楽しまれています。
この流れは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術が発達していく未来においてより加速すると言われ、360度に広がるバーチャル・リアリティの世界を、触覚、聴覚、嗅覚など、より感覚的に味わえるようになり、たとえばVR(バーチャル・リアリティ)やBCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)ヘッドセットを装着し、アーティストが思い描く世界をギャラリーや美術館から離れた場所から疑似体験できるようになっていくと言われています。また、テスラのCEOであるイーロン・マスクのチームが開発しているNeuralinkのようなバイオチップが発展していけば、アーティストの感覚が鑑賞者の脳に直接伝達されるなんてことも現実的になってくるでしょう。
絵画や彫刻・・これまでのアートはどうなる?
テクノロジーに支配された未来の世界では、かえってこれまでの物質的なアート作品の人気を更に呼ぶことになると予想されています。一方で、高価な絵画や彫刻などとよりも安価な新しいテクノロジーを駆使した作品がより広がりを見せるという見方もされています。従来のメディアからデジタルに移行して活躍するアーティストも少なくないでしょう。
アート作品のオンライン取引の急速な発展
特にCOVID-19が押し寄せた2020年を境に、アートのオンライン取引の市場規模は急速に拡大し、アートコレクターの間でのスタンダードになりました。Christie’s、Sotheby’s、Phillipsによるオンラインのオークション販売は、2020年上半期に3億7,000万ドルを売り上げ、2019年の同時期と比べて5倍以上だったそうです。今後、オークションハウスやギャラリーは、バーチャルフェアやビューイングルーム、展示会など、オンラインでの存在感を高めていくことが予想されます。そして、上記の世界最大オークションハウスとは別に、Artsy、Saatchi Online、Seditionといった、オンラインオークションを専門とする企業が台頭してきたことで、ワンクリックで作品を購入することがもっと当たり前の時代になっていくことでしょう。
いかがでしたか?
ほかにもアート×NFTの未来についてなども取り上げたいと思っているので、もうちょっと待っていていただければと思います。
ほかにもしアートの未来の変化に関する面白い情報があればぜひシャアしてくださいね。
それではまた。