(↑先日訪れたクリスティーズのオークションビューイングで展示されていたBanksy作品)
こんにちは。ロンドン在住のSATOMIです。
謎に満ちたイギリス人アーティスト、バンクシー。一度はその名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? 覆面アーティストと呼ばれる彼の正体は今でもベールに包まれていますが、今回はバンクシーについてカンタンに解説してみたいと思います。
バンクシーって誰?
バンクシーは、街の公共スペースに神出鬼没にグラフィティ(ストリートアート)を描く、イギリス出身の匿名アーティストで、今もその正体は明らかになっていません。もともとロンドン、ブライトン、ブリストルなどイングランド南部を中心に見つかっていた彼のグラフィティ絵画は、今では世界の至るところで発見されています。描いたあとすぐに姿をくらませられるように、ステンシルと呼ばれる型板にスプレーをかけるだけで完成するグラフィティ絵画の技法を使っているのが特徴。
また、反戦問題や人種問題、難民問題、反資本主義など、その時の時事問題を反映した強いメッセージが含まれているのも彼の作品の大きな特徴の一つです。
グラフィティ以外にもスクリーンプリントや油絵などの絵画作品に始まり、ディズニーランドを揶揄したテーマパーク「ディズマランド」の創設や、パレスチナ人の迫害を訴えるためにイスラエルに建てた宿泊施設、自身のドキュメンタリー映画「Exit Through the Gift Shop」の製作など、多岐に渡る活動で世間をいつも驚かせています。
・バンクシーの公式サイト:https://www.banksy.co.uk/
・バンクシーのインスタグラム:https://www.instagram.com/banksy/
ちょっと全くの余談ですが、
この前ロンドンのオックスフォード・サーカスストリート近くを歩いていたら、道に人だかりが出来ていて。
なんだろうって思ってみていたら、誰かがスプレーを片手にグラフィティを壁に描いている・・しかもバンクシーの絵にそっくり・・・
まさか!?と思ってインスタにその動画をあげたら、友達から違うよっといって、Lorettoという全く別のアーティストのインスタグラムアカウントが送られてきました。(Lorettoの作品も十分に素晴らしいので、気になる方はインスタでフォローしてみてください)
あとから冷静に考えると、あんな日中の人だかりの多いロンドンの真ん中でバンクシーが堂々と絵を描かないですよね笑
でも、なんだかちょっと見ちゃいけないもの見たような気がして、その時はすごくわくわくしてました。
その時の写真がこちら。(堂々としすぎている・・!)
話はバンクシーに戻って、2020年7月、Covid19の蔓延によってマスク着用が必須となったロンドンで、彼が地下鉄の中に描いた作品(のちに清掃員に消される)は、暗い雰囲気だった世の中を明るく笑い飛ばしてくれた気がして個人的にはすごく好きでした。彼が自身のインスタグラムにあげた動画がこちらのYoutubeで見れるので是非まだ見てない方はチェックしてみてください。
バンクシーの正体とは一体?諸説ある彼の素性
バンクシーはこれまで一度も自身の正体を明かしたことはなく、正体を明かさないもともとの理由は、公共や私有物の破壊行為として起訴されることを避けるための手段だとして言われています。
しかし、2003年にロンドンで開催された「Turf War」展に先立ち撮影された、イギリスの民放ITVのインタビューにバンクシー本人が映っていると一時騒然になったことがあります。そのインタビュー動画がこちら。
この動画はインタビュアーが当時の撮影のことを振り返っているもので、インタビュアーはあまりにも昔のことで彼のことをほとんど覚えていないものの、バンクシーとして取り上げられたこの男性のことを、とても落ち着いて、感じの良い人間であったと語っています。
現在もバンクシーの正体については諸説あり、さまざまなところで話題になりますが、今回はそのいくつかをご紹介します。
- ロビン・ガニンガム:ロンドンのクイーン・メアリー大学の犯罪学者たちが、「ジオグラフィック・プロファイリング」という手法を用いて、バンクシーの絵が描かれた場所、パブ、競技場と、ガニンガム氏に関連のある住宅地を照合し、彼をバンクシーとして特定。しかし、バンクシーの代理人はこの説を否定しています。
- ロバート・デル・ナージャ:ジャーナリストのクレイグ・ウィリアムズ氏が、音楽バンド、「マッシヴ・アタック」が公演を行った都市と、バンクシーの壁画が発見された都市との間に相関関係があるとし、バンドメンバーのロバート・デル・ナージャがバンクシーであると主張。
- アーティストの集団 :他には、バンクシーは一人の人間ではなく、ストリートアーティストのチームという説もあり、そのうちの一人が先程のデル・ナージャであるとも言われています。
バンクシーの作品のオークション落札価格について
2019年10月、英国の国会議員を猿に見立てたバンクシーの絵「退化した議会」は、オークションで約13億円で落札(当時、自身の最高落札額であった)。ブレグジット(イギリスのEU離脱)に向けてまとまらない英国国会を痛烈に皮肉ったものでした。
ロンドンのサザビーズでオークションに掛けられたバンクシーの作品「風船と少女」が落札直後に突然シュレッダーに掛けられた有名な事件。あの作品の落札額は104万2000ポンド(およそ1億5000万円)でした。
ロンドンのクリスティーズで2021年4月に行われたオークション「Banksy: I can’t believe you morons actually buy this sh*t」の結果が分かるリンクを参考までに載せておきます。
その時のクリスティーズのビューイングで私も鑑賞したこちらの作品「Love is in the Air」は137,500ポンドで落札されていました(約2千百万円)。
その他スクリーンプリントの作品などで安いものでは32,500ポンドで落札(5百万円程度)されたようです。
いかがでしたでしょうか?
いつかバンクシーのストリートアートが楽しめるロンドンのスポットについてもまとめたいなと思っているので、そちらの記事も楽しみにお待ち下さい。
それでは。