↑【Best Selection of Salts】By SATOMI(Me)
上以外の水彩画もMy Artでぜひチェックしてみてください
こんにちは。SATOMIです。
実はこう見えて私は大の料理好きで、料理は絵を描いている時間と似ていて、手を動かして何かを制作している行程が私にとってはメディテーションみたいに、他のことを忘れられる大切な時間なんです。
日本にいた時は和食を習いに料理学校に通っていましたが、ロンドンに移り住んでからは、西洋料理を勉強したくてフレンチやイタリアン、ときにはイギリス料理を毎日作っています。
そんな私が最近読んでハマっている料理のコツがまとまっている本(洋書)をちょっとだけシェアしたくて、今回は記事を書くことにしました。
その本は、私が料理の腕をワンランク上げたいなと思って、料理のもっと根本的(科学的というか理論的?)なことを学べて、どんな料理にも応用できるようになりたいと考えてたときに出会った本です。
タイトルは、「SALT, FAT, ACID, HEAT」 (直訳だと:塩、脂肪、酸、熱)
本は、タイトルの通り、塩、脂肪、酸、熱の4部構成から成っていて、それぞれ4つの要素で料理をする際に念頭に置いておくべきことを理論的に(でも易しく)書かれています。最後にはレシピもついているので、勉強した内容を復習しながら料理ができます。
英語も比較的わかりやすいし、可愛いイラスト付きなので英語が好きな人には、とてもおすすめなのでぜひ読んでみてください。
作者のサミン・ノスラット(Samin Nosrat)さんはカリフォルニア出身のアメリカ人シェフで、イタリアのレストランで腕を磨き、プライベートの料理学校をアメリカで開設。テレビ番組にも登場し、Netflixでは本と同じタイトルのドキュメンタリーが取り上げられて、そこでも4部構成。それぞれの章で違う国を訪れているんですが、塩の章ではなんと舞台が日本!日本のNetflixでも「美味しい料理の4大要素」というタイトルで観れるようなので、気になる方はぜひタイトルチェックしてみてください。(放送内容はあまりコツなどは説明しておらず、どちらかというともっとドキュメンタリー寄りです)
Salt, Fat, Acid, Heat: Mastering the Elements of Good Cooking
今回はSALT(塩)の章について、私がカンタンに要約してポイントをシェアしたいと思います。(本の内容はもっともっと濃厚なので、細かく知りたい方はぜひ本を読んでみてください。)
塩って、料理の基本中の基本だけれども、この基本が料理の美味しさを左右する要といっても過言ではない。
塩の量、使うタイミング・・・塩の使い方をマスターすれば、料理の腕が見違えるほどに上がります。
毎回レシピをまねしながら言われた通りの分量で作っていたとしても、料理をアレンジしたいときとか、自分オリジナルのレシピを作りたいときに応用が効かない。
だから、塩の科学を知っておくことはとても大事なんです。
それでは早速見ていきましょう。
1. 塩の性質
まず塩の性質を理解していると、塩をかけるタイミングや量を理解しやすいので、まずはそこから説明します。
塩分濃度が異なる2つの物体が並んだ時、その濃度を均衡に保とうとする原理が働き、「浸透(英語で言うとOsmosis)」と「拡散(Diffusion)」という作用が発生します。
塩分の少ないものから高いものに塩分が移動する働きを「浸透」と呼び、その逆を「拡散」といいます。「拡散」のほうが互いの塩分濃度が均等になるまでに時間がかかります。
例えば塩を肉に振ったときに時間が立つと塩の粒子が見えなくなりますが、それは塩分バランスを保つために塩が溶けて塩分濃度の低い肉の中に入っていく「拡散」の性質によって起きている現象です。そうしてしばらく時間が経つと、肉の中に均等に塩分が行き渡るようになるというわけです。同時に、「浸透」の作用によって、塩を振られた食材は、食べ物の中の水分を外に出そうとします。だから、塩で下味をつけた肉の表面が放っておくと水っぽくなるんですね。
2. 塩をかけるタイミング
・お肉の味付け
・先程伝えたとおり、塩が「拡散」するのには時間がかかる。だからあらかじめ肉には塩を振っておいて塩分を染み込ませておく必要があります。
今度お肉を料理をするときには、調理する前日に塩を振り冷蔵庫に寝かしておいてみてください。前の晩にし忘れてしまった場合は、朝一に仕込みで塩だけ掛けておいて夕食に備えてみてみましょう。
もしもっと急いで料理する場合は、下味をつけたら常温で肉を放っておくとより早く味付けができます。(塩は寒い環境だと拡散するのに時間がかかるため)
また、塩は水の存在を利用して浸透していくという性質があるために、肉の脂肪(油)の多い部分にはなかなか塩が入っていきません。一方で、脂肪分の少ない赤みの肉は水分をより多く含んでいるため、塩分が染み込みやすい。なので、料理の味見をする時は、脂肪分の多いところと少ないところどちらもテイストしてみてください。脂肪の多い部分が味が薄いからといって、塩を多く足しすぎないように注意しましょう。バランスが大切です。
・魚介類の味付け
・繊細なタンパク質でできた魚介類には下味を早くつけすぎると、食材を硬く、さらには乾燥させてしまうため、調理する15分以内でOK。(かなり分厚い魚を調理する場合は30分程度でも大丈夫)
・野菜の味付け
ほとんどの野菜や果物には、難消化性(人の消化酵素では消化しづらい)炭水化物のペクチンという成分が入っています。ペクチンは野菜が熟されたり、焼かれたりすることで柔らかくなり、食材の味自体も美味しくしてくれるのですが、塩もペクチンを柔らかくしてくれる働きがあります。
なので野菜にも調理前あるいは、料理中にきちんと味付けしてあげましょう。大きめの、みずみずしい細胞をもつ、トマトやきゅうり、なすなどの野菜には、焼く前、オーブンに入れる前の15分ほど前に塩で味付けしておきましょう。(食べ物の中から出てきた水分は調理前にふきとります)
ただし、きのこ類はペクチンを含まず、80%が水分ですぐに塩分を吸い込み始めるため、焼いていて色が茶色くなり始めたときにかけるのがベストです。
ほかにも本には卵やパンのドウなど、他の食材の味付けについても書いてあるので気になる方はチェックしてみてください。
3. 塩の種類
本の中で推奨されているのは、コッシャーソルトという、もともとユダヤ教の人たちが動物の肉の血抜きのために使っていた塩で、わたしもいつもの料理に必ず使っています。テーブルソルトは添加物などが入っているため避けましょう。
塩とひとつとっても、塩辛さは種類によって全く異なるので、色々な塩のテイスティングをしてみて、それぞれの性質を理解していってみてください。(日本の塩はまた塩分が違います)
私がロンドンで使っているの塩の種類は、コッシャーソルトとシーソルト。シーソルトは基本的には最後の味付けに使用して、基本はコッシャーソルトでまかなっています。食卓には、食べる人の好みで味付けを調整できるように私は小皿にいれたシーソルトを置いておきます。
私の使っているコッシャーソルトはFiamond CrystalのPure&Naturalなのですが、日本のアマゾンで見たらとても高かったので、日本の塩で良いと思います・・。
私が使ってるシーソルトは2種類。左は英国王室御用達としても認定されたことがある、柔らかな風味が美味しいマルドンのシーソルト。右はブルターニュ地方で採れるケルト岩塩のグレーソルトで、味が強く、味の強いお肉の上にかけたりして使ってます。(リンクは日本のアマゾンのアフィリエイトリンクを貼っています)
4. 塩の適切な量
塩はわずかな量でも料理の味を大きく左右するので、かならず少量ずつ足して都度味見をするのがポイント!プロの料理人は粒レベルで塩を足していきます。
基本的には食材に対して1%の塩分を目安にすること。
パスタや野菜などをゆでるときは2%の塩分とちょっと濃い目で味をつける。(味見して海水よりも若干まろやかな感じをイメージしてますが、ここらへんはお好みで)
野菜の中には、もともと塩分が含まれているので、茹でるお湯の塩分濃度が野菜の塩分濃度よりも薄かったら、さっき説明した塩分濃度の均衡の作用によって、野菜に塩分が入っていかない。だから、野菜よりも塩分濃度の高い塩分2%程度のお湯が必要になるわけですね。ここでも科学を理解していると納得がいきます。
私がする1%を測るカンタンな方法としては、お皿に食材を乗せて、電子計量器に置いたら重さを0にリセット。
そこに塩を必要な量足すだけ。
1%であれば、計算しやすいですよね。
例えば300gの肉なら、1/100の塩分なので3gの塩をかける、といった感じです。
あくまでも上記の割合は目安なので、この割合をスターティングポイントとして、自分の好みの割合を見つけていきましょう。先程伝えたとおり、塩の種類に塩分が異なることも念頭に入れて味付けしましょう。
また、同じ料理に入れる他の食材に塩分が多く含まれている可能性があることも忘れていはいけません。例えば醤油やチーズ、オリーブ、味噌やスパイスそういったものを同じ料理に使う場合は、塩の量を控えめにします。
5. 塩の振り方
塩を振る時は、高い位置から振って、塩が偏らないように注意しましょう。
先程言ったとおり、一気に振らず、少しずつがポイントですよ。
いかがでしたでしょうか?本にはこの続きで、塩をかけすぎてしまったときの対処法なども説明していますので、ぜひ気になる方は読んでみてください。
他の3つの章についても、またどこかでまとめてみたいと思います。
それでは。