ロンドンでこれまで7回以上引っ越しを繰り返した私ですが、家選びで重視する項目の一つに、「近くに公園があるかということ」があります。
忙しないロンドンの生活だからこそ、緑が溢れた、広大で開放感のある公園の存在は私にとって必要不可欠なんです。
公園のベンチに座って仕事をすることもあるし、芝に座って友達とピクニックをすることもあるし、天気の良い日は必ず近くの公園に出掛けてリフレッシュをしています。
特に春夏のロンドンの公園は、生い茂る緑ときれいに手入れされた色鮮やかな花々があまりにも美しくって、いつも訪れている公園なのに、思わず泣きそうになるくらい感傷的になります。
今回は、本場英国の美しいローズガーデンが楽しめる公園からアートギャラリーを有する公園まで、私がお勧めするロンドン公園厳選3選をご紹介します。
ロンドンに訪れることがあれば、ぜひ観光のプランの一つに、「公園散歩」も加えてみてくださいね。
アートやイギリスのカルチャーを楽しめるロンドンの公園 TOP3
1. 大自然の中にコンテンポラリーギャラリー2館を擁すハイドパーク
ロンドンの中心に位置し、王立公園の一つであるハイドパークは、敷地面積が約142ヘクタールのロンドン市内で最も有名な公園の1つです。
豊かな緑と敷地内に作られた2つの湖には野鳥や小動物を見ることができ、訪れる人に憩いの時間を与えてくれます。
時折、湖では巨大なコンテンポラリースカルプチャーの展示などがあり、自然とアートの融合を楽しむことが出来ます。
ハイドパークでは、その敷地の広さから一年を通して様々なイベントが特設で催されます。
有名なものは毎年11月から始まる「Winter Wonderland」 で、クリスマスマーケットと移動遊園地が特設され、その規模の大きさにはいつもびっくり。
夏には10日間連続で行われる音楽フェス、「British Summer Time Hyde Park」が行われ、世界の有名なミュージシャンが夏のロンドンを盛り上げます。
ハイドパークに行った際に訪れたいのは、池を挟んで並ぶ2つのコンテンポラリーギャラリー、Serpentine(サーペンタイン)。
それぞれSerpentine Gallery、Serpentine North Galleryと呼ばれます(いずれも入場無料)。
前者はダミアン・ハースト、ジェフ・クーンズをはじめとする著名な現代美術アーティストの作品展示だけでなく(基本は特別展なので行くときは展示の内容を事前にチェックしてください)、毎年夏に期間限定で注目建築家による建築物を展示するイベント、サーペンタイン建築パビリオンを主宰。
建築パビリオンでは、これまでに多くの著名な建築家が作品を展示し、2019年には日本建築家の石上純哉氏による石を敷き詰めた屋根が印象的な作品が公園に来る人々を魅了しました。
またSerpentine Galleryの中にはアートブックストアがあり、私もハイドパークを散歩するときにはいつも立ち寄るラインナップ豊富な本屋の一つです。
もう一つのSerpentine North Galleryは、ザハ・ハディドの建築によるもので、中にはカフェも併設されており、アート作品を鑑賞しながら、公園の景色を眺めながらゆっくりお茶をするのにもお勧め。
2. 英国の代名詞、ローズガーデンが美しいリージェントパーク
ハイドパークと同様、ロンドンにある王立公園の一つであるリージェントパークは、166ヘクタールの敷地面積をもち、その敷地内には、Open Air Theatreと呼ばれる劇場、1828年に創設された歴史ある動物園 ZSL London Zoo、1万2千以上の薔薇を鑑賞できる薔薇園 Queen Mary’s Gardensなどさまざまな施設があり、ローカルの人々から観光客まで、多くの人々をシーズン問わずに楽しませてくれます。公園の北に位置するPremirose Hill (プリムローズヒル) は、その丘を登ると、シャードやロンドン・アイなど、ロンドンの市内の建造物を一望できるので、訪れた際には是非足を伸ばしてみてください。
私自身、劇場と動物園にはまだ足を運んだことはないですが、リージェントパークの近くに住んでいた時は、散歩でいつもQueen Mary’s Gardensに行き、日本では見たことのない多種多様で色とりどりの薔薇を鑑賞しながら、ベンチでゆっくりと時間を過ごすのが大好きでした。薔薇1種1種に、アート心をくすぐられるユニークな名前がつけられているので、お気に入りの名前を探してみるのもおすすめです。見頃は5月ごろになるので、ぜひその時期にロンドンにいらした際には必ず訪れてみてください。(バラ園は無料です。)
3. 著名なアート作品と建築が楽しめるハムステッド・ヒース
ロンドン北部に位置するハムステッドヒースは、320ヘクタールというロンドンで最も広大な公園で、ロンドンの喧騒から逃避し、開放的な空間と美しい自然を楽しみながらピクニックや散歩をするローカルの人々が多く見られます。
ロンドンで最も標高の高いこの公園では、ロンドンの街を一望でき、戦時中には軍事訓練地として利用されていた歴史があります。
昔から数多くの著名アーティストがこのハムステッドの地に住んできました。イギリスの画家、ジョン・コンスタブル (John Constable)は晩年をここで過ごし、ハムステッドの風景画を数多く残します。
イギリスのロマンティシズムの詩人、ジョン・キーツもハムステッドに引っ越してからは公園を訪れ、現在も残されているキーツの自宅「キーツ・ハウス」で「ナイチンゲールに寄せるオード」を書き上げました。ロンドン滞在中の夏目漱石もこの地を訪れたそうです。
ハムステッド・ヒースで必ず立ち寄って欲しいのは、丘の最も高い位置に構える「ケンウッド・ハウス」。
ヨハネス・フェルメールの「ギターを弾く女」、レンブラント晩年の傑作の1つとして知られる「二つの円と自画像」をはじめ、ターナー、コンスタブル、ヴァン・ダイクなど著名画家による作品が楽しめます。
18世紀のデコラティブな家具、そしてスコットランド出身の歴史を代表する建築家ロバート・アダムが手掛けた新古典主義の息を飲むほどに美しい建築と、屋敷内に増設された図書館は必見です。
私が特に好きなのは、ケンウッド・ハウスに住むマンスフィールド伯の実話をベースにして撮られた映画「ベル ~ある伯爵令嬢の恋」の主人公ベルが描かれた肖像画。
マンスフィールド伯の甥と黒人奴隷との間にできた子供、ダイド・ベルは、奴隷貿易最盛期を迎えるイギリスに珍しい黒人貴族としてマンスフィールド伯のもとでこの屋敷で育ちました。
絵画では黒人のベルと対称的に白人の又従姉が描かれ、そのコントラストと絵画のストーリーはとても印象的です。
映画はケンウッド・ハウスを訪れる前にかならず見てみてください!
カフェも併設され、外には有名な彫刻家、バーバラ・ヘップワース、ヘンリー・ムーアなどの作品が展示されていますので、ハムステッド・ヒースで優雅に自然とアートに浸る一日を過ごすのがおすすめですよ。
いかがでしたでしょうか?
この中で、行ってみたいと思う場所は見つかりましたか?上記で上げたギャラリー(美術館)はすべて無料で入場できます。
自然と芸術が、忙しないロンドンの街の中で見事なまでに融合し、私たちを常に癒やしと感性を研ぎ澄ませてくれるそんな場所を、ぜひ時間をとってゆっくり楽しんでみてくださいね。